耳鳴り・難聴について
耳鳴り・難聴・メニエール病と診断を受けた
耳鳴り・難聴・めまいなどにより日々苦労されている方も多いと思います。ここでは、それらの原因・要因・施術方法などを記しています。耳鳴りは、65歳以上の日本人の約3割に該当する疾患であります。ぜひ、参考にしてもらえればと思います。
まずは疲労・ストレス・睡眠不足の3つが身体にとって大きな負担となることをお伝えします。
1つだけこの要因が当てはまる人がいれば3つとも該当する人もいます。
この背景があり、首肩こり・腰痛を訴える人が非常に多いです。疲労やストレスは数値化できないものであり、自分では気づきにくいかもしれません。そして、疲労の蓄積・ストレスの過大により眠れなくなり症状が誘発されることがあります。
そして、耳鳴りの辛さはなった人でなければわかりません。それはうるさい・煩わしいと言うだけではなく、人や社会のコミュニケーションを阻害してしまうからであります。それが高じると仕事を辞めなくてはならないなど塞ぎがちな人生も送ることもありえるでしょう。重症化による、鬱・不安・不眠と言った精神的な症状も伴いやすいです。
周囲からは『気のせい』『たかが耳鳴りが…』
医者からは『うまく付き合いましょう』『年のせい』『これ以上良くならない』
と言われ行き場を失った方々をみてきました。
耳鳴り・難聴は、脳の働きや心にまで大きな影響を及ぼします。
耳鳴りの正体は内耳で生じる摩擦音
私達が聞いているのは空気の振動です。
振動は外耳道・中耳・内耳へと伝わり電気信号に変わります。そこから聴神経、脳幹、大脳の聴覚野で初めて音として認識されます。そのどこかでトラブルが起きると耳鳴りとして現れます。
一番多いのは、内耳であります。
内耳にある蝸牛には15000程の微細な細胞がびっしりと並んでいます。そこで有毛細胞が膜と擦れあって、空気振動を電気信号に変えるのですが、その摩擦音が異常に強く聞こえると耳鳴りを感じます。
なぜ、異常な摩擦音が聞こえるのでしょうか?
そこには内耳の血流が深く関係しています。内耳の血管は『血管条』と呼ばれる非常に微細な網のような血管でわずかなことで血流が滞ったり、途絶えたりします。
すると内耳が正常に働かなくなり、有毛細胞が摩擦音を強く感じます。また、血流が悪くなると有毛細胞に酸素や栄養が行き届かず、有毛細胞自体も変性します。それにより、異常な摩擦音が作り出されるのです。
こうしたことは特別な人に起こるのではなく、聴覚の機能を持つ人なら誰の耳でも起こっています。すなわち、耳が聞こえるというのは、耳鳴りがあるという事でどんな人にも耳鳴りがあります。
なぜ、耳鳴りが聞こえる人と聞こえない人がいるのでしょうか?
内耳で電気信号に変換された音は、脳幹を通って大脳の聴覚野に届きます。その途中、大脳辺縁系にある、ストレスを感じる「偏桃体」、記憶が関係する「海馬」の感じ方が人によって違うのです。
日本人は虫の鳴き声を音色として感じ、外国人は雑音と感じます。それは、脳での認知神経心理が関係した音の捉え方が違うからです。
耳鳴りも同様です。にぎやかなパーティーの席では、耳鳴りは気になりませんが、一人になり静かな所にいると急に耳の中で音が鳴り始めます。
ずっと耳鳴りはあるのですが脳での認知が違うため耳鳴りが聞こえたり、聞こえなかったりするのです。
耳や脳に負担をかけないことが先決
前記であったように気にすれば気にするほど脳が音を大きく感知してしまいます。
たとえ、耳鳴りがあっても『耳が聞こえている証拠』くらいの大らかな気持ちでいると違う感覚で過ごせると思います。
音の振動を電気信号に変えて伝える内耳と聴神経、音を感じる脳。
聴覚系とはこれらの機能低下により、脳が違和感を覚え耳鳴りを生じさせます。耳鳴りは慢性化すると治りづらいのも事実でありますので発症から早期に診断と治療を受けてください。
最大限の予防は耳や脳に負担をかけないことが一番であります。耳鳴りには必ず原因や原因を引き起こしている日常生活習慣があります。その習慣を変えるだけでも大きな変化がありますので以下のものを見直してください。
顎関節症
顎の周囲に何らかの異常が生じている病態。
顎関節症で顎が擦れると頭を支える首の骨に歪みが生じます。それにより、脳に血液を送っている首の血管が圧迫され血流が悪化します。顎がガクガクなる音・痛み刺激などは内耳に過大な負担をかけます。
内耳の異常興奮
耳鳴りは内耳の有毛細胞が興奮して異常音を発している状態であります。
神経を興奮させる作用のカフェインの飲料は控えたいものです。水は塩素の多い水道水よりも天然水を選びゆっくりと口に含みましょう。
ビタミンC・クエン酸を積極的に摂取したいことからもレモネードなどがオススメです。
化学物質の害
毛染め液の中には、有害な化学物質が含まれています。
その中の1つがアニリン色素の誘導体であります。これは頭皮から染み込み、耳や目をコントロールする前提小脳に悪影響を及ぼします。毛染めでは、ヘナなど自然素材を活用しましょう。
毛細血管の血行不良
内耳には細い血管が集まっています。ニコチンは、血管収縮作用があるため喫煙者は耳鳴り発症の一因となります。
喫煙者は違ったリラックス方法を見つけることを勧めています。
音響外傷
イヤホンなどで大音量の長時間音楽を聴けば音圧により耳を傷めてしまいます。
ゲームセンター・パチンコ店・ライブなどは要注意であります。仕事で音圧を受けやすい人には耳栓がオススメです。
生活習慣・3代要因を取り除く
疲労・ストレス・睡眠不足を取り除く生活習慣を心掛けてください。
スマートフォンの見ることによる夜更かしに気を付け、入浴による心身のリラックスなど規則正しい生活を習慣化していきましょう。
耳鳴りに伴う不眠を訴える患者さんは少なくありません。そして、耳鳴りが気になり眠れないことがまた耳鳴りを悪化させる負のスパイラルが起こりえます。 眠れない⇒疲れが取れず仕事に支障が出る⇒ストレスが溜まる⇒耳鳴りが気になる⇒眠れない…
耳鳴りが与える精神的な不安
耳の中でうるさい音が鳴り響くと
『物事に集中できない』『就寝時の妨げになる』と言った不安に悩まされます。
耳鳴りを抱えてしまう事で精神的に大きな不安になり心身に強いストレスを受けるケースは少なくありません。耳鳴りに関連して生じる諸症状として、鬱・不安・不眠・集中力低下と言ったものがあげられます。こう言った症状が現れるとQOL(生活の質)は著しく低下します。
耳鳴りの大きな原因の1つに心身のストレスがあることがわかっていますが、耳鳴りそのものがストレスになることでそのストレスが症状を悪化させてしまう悪循環に陥ることも考えられます。
逆に、耳鳴りの症状が緩和されれば、それに伴うストレスも軽減します。その結果として、鬱や不安、不眠などについても症状の改善が期待できると言えます。
『鶏が先か、卵が先か』的な話になりますが、心の不調が耳鳴りの原因になることもありえます。
私たちの脳は、大脳皮質で音を受け取ると皮質下でその情報を振り分けをしています。一方、脳のより奥には、感情を主る大脳辺縁系や内臓の働きをコントロールする自律神経の中枢(視床下部)があります。この聴覚系と“苦痛を感じる脳”は共に影響しあっているのです。
耳鳴りの種類
①低音性耳鳴り
ブーン・ボーン・ゴーッと言うような低い音が耳が詰まったような感じ。
メニエール病(内耳が水ぶくれを起こし、耳の神経に障害を起こす)や耳管狭窄症・耳管開放症と言った耳の疾患で起こることがあります。
メニエール病は臨床現場で多く遭遇する疾患であります。突然グルグルと自分と周囲が回るようなめまいが起きて、耳鳴りや耳が詰まった感覚、難聴、強い吐き気、嘔吐、冷汗、動悸などの症状が現れます。 1回の発作は、10分程度でありますが繰り返すのが特徴であります。
②高音性耳鳴り
キーン・ピーッと言った音・金属音・電子音に似た音がします。
突発性難聴(何の前触れもなく突然片方の耳の聞こえが悪くなるもの)・老人性難聴・騒音性難聴と言った耳の疾患で起こることがあります。
※頭鳴
⇒頭の中で音がしている状態。
両耳の耳鳴りの合成から起こっていることが多いのでこれも耳鳴りの一種としています。
耳鳴りの程度
・第1段階⇒ほとんど気にならない。日常生活への支障はない
・第2段階⇒周囲が静かだと気になる
・第3段階⇒常に耳鳴りが気になり仕事などに集中できない
・第4段階⇒強い耳鳴りがあり眠れない
老人性難聴について~高音域から始まる~
『歳のせい』と言われることの多い、老人性難聴。
難聴において一般的に言われるのがこの疾患であります。高音域から聞こえにくくなりますが、特徴として病院などの呼び出し音に気づかない、話しているときに子音を聞き間違えやすいと言った傾向があります。
その後聞き取りづらい音域が広がり、中音域・高音域へと広がっていきます。無論、キーンと言う耳鳴りも併発することが多いものであります。
老人性難聴は、加齢性難聴とも言われ、早い人は40代から現れます。
頭鳴『頭の奥でキーンとなる』『頭全体から鳴る音』
頭鳴りがします…
いわゆる頭鳴は、耳鳴りの一種であり脳過敏症候群によっておこります。
文字通り脳の過敏状態であり、脳が些細な刺激において過剰に反応して神経的な興奮を起こしてしまいます。耳と言うよりは頭全体で鳴る感じとなり、鳴り方が激しいのも特徴であります。
耳鳴りとめまいは一緒に起きる
耳鳴りとめまいは一緒に起きることの多い症状であります。
それは、耳の中に音を感知する器官と、身体のバランス(平衡感覚)を主る器官が同居しているからであります。それらは、耳の奥の“内耳”と言われる部分にあります。
音を感じて脳に伝えるのが、渦巻きのような形をした蝸牛であります。身体のバランスを取っているのが3本の輪っかからなる三半規管とその付け根にある前提と言う部分であります。
聴覚を主る蝸牛とバランスを主る三半規管・前庭は繋がっています。そのため、メニエール病などの内耳のトラブルが起きると耳鳴りとめまいが一緒に起きることが多いのです。
健康な人でも急に立ち上がったときに、大きく気圧が変化したとき、乗り物酔いをしたときになどに一過性の耳鳴り・めまいを一緒に感じることがあります。
鍼治療を中心とした施術においての効果
肩こり・頭痛・股関節痛・腰痛が主訴で来院される患者さんの中で実は耳鳴りにも悩んでいると相談を受けることがあります。
耳鳴りがあると身体の軸そのものが乱れ、カバーするような身体の姿勢反射が起きるので重心軸がずれてしまいます。
その結果、身体の動かし方が悪くなったり・悪い癖などが付きコリそのものを生んでしまう可能性が高くなります。
例えば、カバンをいつも同じ側でもったり、姿勢が猫背だったりすると歪むのもお分かりと思います。身体は多少歪んでも、筋肉や骨はそれに耐えますが長期の負荷になると不自然な負荷のかかっていた部分は悲鳴を上げ、不調として現れます。こうした歪みが原因で冒頭で述べた肩こり・頭痛・股関節痛・腰痛が誘発されることもあります。
問題は、身体の軸が歪むと耳の中の器官も歪むという事です。
例えば、耳の穴から鼓膜まで通じている外耳道があります。外耳道は通常、美しいS字状ですが身体の歪みと共に変性してしまいます。
すると、鼓膜までも歪み弛んだり・引きつったりします。鼓膜の内側には、耳小骨と言う3つの小さな骨があります。鼓膜の振動を内耳へ伝える役割がありますが、この骨もずれ耳鳴りが生じることがあります。
このときに生ずる、耳と関連深いコリを手足などのツボを使い解していきます。
特に顎の動きは重要であり全身のバランスと関わってきます。顎の調整をするには、全身のバランスを診て、修正していく必要があります。
病院では、耳は耳鼻科、顎は口腔外科となっているためその関連性に気づきにくいと感じています。
身体のコリを解消し、顎関節のスムーズな動きを取り戻すこともポイントであります。首こり・肩こりを生み出しているのは、身体の歪みであります。耳の裏にあるコリそのものに施術を加えても、原因が解決されるわけでは無いので、一時的な変化にとどまります。首こり肩こりを根本原因から解決し、再発しない身体を作っていきます。
コリが解消されていくと呼吸がしやすくなったと言われるのが多いのも事実であります。コリがあるとリラックス状態にある腹式呼吸よりも緊張状態の胸式呼吸になりやすく呼吸が浅い人が多いのです。
ストレスや働き過ぎなど交感神経優位になると眠れなくなる・疲労がたまりやすくなることも容易に考えれます。
問診では、耳鳴り以外の症状でも気になることがあれば伝えてください。
耳鳴りに関係ないと思っている症状でもそれが判断する上での重要な要素となります。
偏頭痛持ち、股関節の調子が悪い…など耳鳴りは単なる聞こえ方の問題ではないのです。
施術と共にお勧めしたいセルフケア
多くの情報が溢れている現代からこそ、原点に戻ることで特別なことはいらないと思います。お勧めしているのは、【ウォーキング】であります。
良く歩けば運動不足解消になりますし、夜も良く眠れるようになります。こうした好循環が生まれれば、ストレス軽減に繋がり熟睡できる日も多いと考えています。こうした日常生活の配慮により、施術&セルフケアで一緒にアプローチをできればと思います。
自律神経失調症・うつ・不安障害など心の病気が引き金となり起こる耳鳴りもありますが同じようにウォーキングをすすめています。
また、意識的な水分の摂取も勧めています。特に低音性難聴の場合、内リンパを水腫の排出目的で利尿剤が処方されることと同様、水分を取ることで余分なリンパの排出を行っていきます。